アジャイルHRでは代表の松丘啓司と講師の夛田素子によるYouTube「1on1チャンネル」を開設しています。本サイトでは、過去に配信した対談を1回ずつ短いコラムに編集してお届けします。

 

 

夛田: 在宅勤務が増えコミュニケーションを渇望している、人と話す機会が少なくなり寂しい思いをしているといった話をよく耳にします。私たちが気軽に使っているコミュニケーションという言葉ですが、これは一体どういうことなのか、改めて解説したいと思います。

松丘さん、コミュニケーションについてお話しいただけますか?

 

松丘:コロナ以降、組織の中のコミュニケーションが少なくなって困っているという話は聞きますよね。コミュニケーションが減少しているのは、コミュニケーションを増やそうとしていないからです。

 

夛田:それはコロナや在宅勤務だからということではなくということでしょうか?

 

松丘:もちろん、会えていればコミュニケーションは挨拶も含めて自然にできますが、会えていないとコミュニケーションはなくなります。なくなった状況の中で増やそうとしていないということですね。

 

何を言っているかというと、今から9年前に「アイデアが沸きだすコミュニケーション」(https://www.amazon.co.jp/アイデアが湧きだすコミュニケーション-松丘)を出版していてそこにも書いていますが、コミュニケーションはコミュニケーションが生むということです。

 

夛田:それは自分が発信したら、そこからまたコミュニケーションが生まれるということでしょうか?

 

松丘:今の会話も、夛田さんの発言は私の発言があったからされましたよね。それが一つのコミュニケーションです。それがその次のコミュニケーションを生んで、その次のコミュニケーションを生むという、自己生成的と言われますが、そういう性格を持っています。

 

そのため、こういうリモートワークの環境で、誰かが誰かに対して意図的にコミュニケーションを投げかけない限り、そこから次のコミュニケーションというのは発生しないのです。

 

夛田:テニスのラリーみたいなのに近いですか?

 

松丘:よくコミュニケーションとはボールのキャッチボールだと例えられますが、キャッチボールもテニスのラリーも、同じものを投げ同じ球を打ちます。けれどもコミュニケーションの場合は変わっていきます。

 

こちらは青い球を投げたのに返ってくるのは赤い球というように変化していくので、そこで色々な変化やアイデアが生まれるという性格を持っています。

 

夛田:意図的にコミュニケーションをとることを心がけるということが大事だということでしょうか?

 

松丘:個人が声を掛けるというだけではありません。ドイツの社会学者であるニクラス・ルーマンが言ったことですが、社会システム、会社の組織というのはコミュニケーションによって成り立っています。

 

組織と言うと人で成り立っているように感じますが、人がいてもみんな黙っているようなものは組織としては成り立ちません。あるいは、電車の中でたまたま乗り合わせている人がたくさんいても、それが組織かというと組織ではありません。しかし、何かの目的に向けてそこでコミュニケーションが起これば、それは緩やかな組織になります。コミュニケーションが減るというのは組織としては非常に危険な状態なのです

 

夛田:組織=コミュニケーションといった感覚も強いので、コミュニケーションが減るということは、組織活性化がされないということにも繋がっていくということでしょうか?

 

松丘:そうです。組織としても弱っていくので、意図的にコミュニケーションを増やす方法や手段を作っていく必要があります。

 

夛田:コミュニケーションを増やす手段は、昔に比べると増えたような気がします。例えば会うという場面が減っても、メールやチャットなどいろいろなツールを通して文字でやり取りすることも、コミュニケーションの一つかなと思いますが、それだけではなく、対話、オンライン上でも対面で話すことが大事ということでしょうか?

 

松丘:当然、文字で表現できることと、このように1on1で話していて伝わる、あるいは起こるコミュニケーションというのは、若干、性格は違いますが、文字には文字の良いところがあります。

 

例えばクラウド上のSNSで何かを発信した時に、そのコミュニケーションはたくさんの人に同時に伝わります。それに対していろんな人が反応すればまたコミュニケーションが増え、相乗効果で増えていきます。そういう意味でのコミュニケーションを増やすという意味合いで効果もあります。

 

ただ、対面でのコミュニケーションをとることにはたいへん意味があります。

なぜかというと、私が例えば夛田さんに何かを伝えようとしているときに、夛田さんは私の言葉を聞いて意味を受け取ろうとしますが、本当は言葉だけ聞いてもよくわからないからです。今日いつもと違いますねと言ったとしたら、意図は何だろうと思いますよね。

 

コミュニケーションで伝える意味は表面上の言葉だけではなく、どうしてそれを言うのかという意図とセットにしておかないとやはり本当の意味は伝わりません。言葉だけのコミュニケーションでその言葉の意図まで伝えるのは結構、難しいのです。

 

夛田:文字だけだと難しいですね。文字コミュニケーションの良さと対面コミュニケーションの良さとをどちらも使い分けていくということが大事になってきますか?

 

松丘:このようなデジタルの時代になってくると、両方使い分けるというのがすごく大事です。デジタルの時代なのに、リアルのコミュニケーションだけに拘っていたら、当然、コミュニケーション量が減り組織が弱っていきます。

 

しかし、リアルのコミュニケーションにはそれなりの良さがありますので、両方をうまく使うという組織能力が大切です。個人で上手に使い分けてくださいというのはなかなか難しいので、会社としてそういうリアルのコミュニケーションの場、デジタルのコミュニケーションの場をきちんと用意していくということが大事かなと思いますね。

 

夛田:会社としてのコミュニケーションの場づくりも大切ですが、私自身は、そもそもこのコミュニケーションとはいったいどういうことなのか、また自組織においてどういうコミュニケーションが必要なのかということを考える、このようなそもそも論を社内でディスカッションするのもいいのではないかなと思いました。当たり前に使っている言葉だからこそ、改めて考える。今こそそんな時代なのかなと感じました。

 

 

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