アジャイルHRでは代表の松丘啓司と講師の夛田素子によるYouTube「1on1チャンネル」を開設しています。本サイトでは、過去に配信した対談を1回ずつ短いコラムに編集してお届けします。

 

 

夛田: 今回は管理職の役割の変化について皆さんと考えたいと思います。

会社の中で求められる人材像は時代によって変化をしていますが、管理職の役割にも変化が見られると思います。松丘さん、昨今の変化について教えていただけますか?

 

松丘:日本企業の人事の考え方は、よくメンバーシップ型と言われます。社員は会社のメンバーシップに入ったら、どちらかというと会社に従属する位置づけで、会社から言われたことを業務命令に従って遂行します。

 

たとえば、転勤してくださいと言われれば転勤する必要がありますよね。その代わり会社の中での雇用が守られ、まじめに働けば昇進し、処遇も上がっていくという考え方です。

 

その中で管理職は、一般の従業員を管理する側。経営側に立ち、きちんと仕事をしているか、成果を出しているかを管理する役割を担っていました。

 

企業に入ってからのキャリアの前半戦は、管理職になるということが目標になります。上へ上へと上がっていくことがキャリアのイメージで、最初の大きな目標は管理職になること、ということです。どういう人が管理職になるかというと、やはり会社に貢献した人でした。

 

夛田:その貢献というのは例えば業績を上げたということでしょうか?

 

松丘;会社に貢献した人は、評価が高いかどうかで見極めます。基本的に評価の高い人が管理職になるというのが、今までの考え方でした。

 

夛田:学校だと成績の高い人が評価をされてきたということに近いですよね。それが今は変わってきているということでしょうか?

 

松丘:特にコロナの問題以降大きく変わってきています。多くの会社では、従業員に自律的に仕事をしてもらいたいと考え始めています。今までは従属でしたが、逆に自律性が求められるということです。言われたことをやってくださいとなると、在宅勤務でいちいち報告するのか?ということになりますよね。

 

夛田:管理が難しいですよね。在宅勤務ですと目の前にメンバーがいないので。

 

松丘:目の前にいないこともそうですし、環境変化も非常に激しいので、現場で一人ひとりが自分で考えて工夫して成果を出していけるようになってほしいと、自律的な働き方を求める会社がすごく増えてきています。

 

要するに管理をする/されるということは、会社に言われたことを言われた通りにやるというマインドになるので、自律はできないということになります。

 

そのため、管理職は管理をするというよりも、いかに自律させて成果を出せるように支援していくか、そちら側に変わってくるということを意味します。

 

夛田:自分が育った時代とずいぶん違う、あるいは自分がされていたマネジメントとまったく違うことをしなければならないという壁にぶち当たっている方も非常に多いかなと思いました。この辺りはどのように意識を転換させて向き合っていけばいいのでしょうか?

 

松丘;今までは会社に貢献したから管理職メンバーシップにいれてあげます、ということでしたが、今後、管理職に登用する/される人というのは、メンバーを動機づけたり育成したりすることが得意な人、あるいはそういうことをやりたい人が本当は管理職になっていくべきですよね。

 

登用の基準は今後も変わってくると思いますが、今いる管理職の人たち、全然違うパラダイムの中で過ごしてきた人たちがどう変わっていくのかということは、また別の難しい問題です。

 

夛田:そうですね。これまでは会社に貢献をして業績をあげた人、評価・点数の高い方が管理職でしたので、その方たちが偉く見えるような見え方でしたが、松丘さんのお話だと、動機づけができる人、得意な人、やりたい人となりますと、決して管理職が偉いとかいうわけではなく、管理職に対する見方や管理職そのものの置かれている位置に関しても変化していく必要があるということでしょうか?

 

松丘:そうですね。上に上がるということが唯一のキャリア目標ということではなく、会社の中で、もっと多様なキャリアが必要ということだと思います。

 

たとえば大企業の場合、定期異動があり何年に一度異動しますとか、ある部署に配属された人がその部門の専門性を身につけ、その領域の人脈をたくさん作ってその道のプロになってきた時に異動してくださいということはよくある話です。

 

石を1個ずつ積んできてすごく高く積めたのに倒されて、別の石をまた積み上げてと言われる感じですよね。そうではなく、どんどん石を積み重ねていってもよいという多様性が必要です。

 

夛田:社内でのキャリアの描き方や、キャリアを自分が導いていく、積み上げていくという考え方そのものを、もう少し変えていく必要があるのかなと思いました。

ぜひ皆様も改めてキャリア、またこの管理職のあり方というところをご自身なりに考えていただければと思います。

 

 

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