アジャイルHRでは代表の松丘啓司と講師の夛田素子によるYouTube「1on1チャンネル」を開設しています。本サイトでは、過去に配信した対談を1回ずつ短いコラムに編集してお届けします。

 

 

夛田: 今日は心理的安全性について皆さんと考えたいと思います。

組織の中で、上司に言いたいことが言えない、1on1の中で何をどこまで話していいのかわからない、などといった悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

そもそもこのような心理的安全性とは何を指しているのでしょうか?

 

松丘:心理的安全性の定義は、自分の言いたいことを気兼ねなく言えるような組織の雰囲気があるかということです。組織がそういう状態であれば心理的安全性が高いことになります。

 

最近よく聞かれますが、実は歴史の古い概念です。最初に大事だと唱えたのは1965年、エドガー・シャインとウォレン・ベニスだと言われています。その後、エイミー・エドモンドソンというハーバードビジネススクールの教授が90年代に心理的安全性とチームのパフォーマンスの関係を研究しました。こちらは社会科学の世界では最も引用された論文といわれるほど有名なものです。

 

最近、心理的安全性が注目されるようになったのは、数年前にグーグル社内で、チームのパフォーマンスにもっとも影響を与えるのは何かを分析するプロジェクトが行われ、いろんな要素データを取って分析したところ、やはり心理的安全性がチームのパフォーマンスと最も関連性が高いと発表されたということにあります。それによって心理的安全性が盛んにメディアでも取り上げられるようになったという背景があります。

 

夛田:再度、スポットが当てられるようになったわけで、割と昔からある考え方ということですね。松丘さんの言葉の中に雰囲気というような言葉もありましたが、この心理的安全性はなかなか目に見えないですよね。グーグルの調査でもどう測ったのかというところは非常に興味があります。

 

松丘:いろんな事象に現れますよね。例えば何か悪い情報みたいなものを隠さずにオープンにするか、あるいは自分のやりたいことや意見を言った際に、それが否定されずに聞いてもらえるか、などです。

 

夛田:心理的安全性の高い状態が組織に与えるメリットにはどのようなものがありますか?

 

松丘:たくさんありますが、個人のレベルだと内発的な意欲やチャレンジしたい気持ちが奨励されます。仕事に対して受け身ではなく自律的、主体的ということであり、チームパフォーマンスのレベルでいうと、多様な意見が重要視されたりします。例えば、様々な考え方がきちんと融合されて、意思決定をするにしても多面的な見方で物事を見ることができるので、適正な意思決定がされやすくなりますし、いろいろなアイディアが取り込まれやすくなったりもします。

 

夛田:いろいろなアイディアが取り込まれるとイノベーションにもつながるのでしょうか?

 

松丘:そうですね。他の人といろいろ協力しようとしても、自分の意見を伝えたときにそれをシャットアウトされたりすると、連携する気もなくなりますよね。心理的安全性が高いと連携やコラボレーションは進みやすくなります。

 

夛田:心理的安全性のメリットが多いということはわかりましたが、具体的に自分たちの組織やチームの心理的安全性を高めていくためにはどのようにしたらよいのかが気になります。ポイントはありますか?

 

松丘:即座に否定しないということがまず大事ではないでしょうか。自分の考え方と違っているのは当たり前です。特に上司はそうですよね。部下が何か提案してきた時に、そんなことする場合かというようなことを言われたら、部下はもうこの上司には何を言っても無駄だ、言われたことだけがやっていればいいと思ってしまいますよね。

 

夛田:部下側から自分の上司が自分の意見を聞いてくれないというお悩みは聞いたことありますが、上司側からすると、否定したつもりはないと、否定していることに気付いてない方も多いのかなと思いました。今の例もそうですよね。今、そんなことする場合ではないという一言は否定ではなく状況を判断している、もしくは状況を読んだ上での指示、アドバイスだと感じている方もいらっしゃるのではと思いますが、これはどのように自分で気づくことができますか?

 

松丘:どうやって気づくかというのはなかなか難しいですね。難しいですが、とにかく一回は相手の話を聞いてみることです。一人ひとりが今の状況だったらこうすべきだとかという、自分なりの判断基準を持っています。特に経験が長い人はその判断基準は過去の経験に照らして正しいと思っているかもしれませんが、その判断基準は基本的には価値観なので、同じ状況に置かれてもみんな違います。

 

自分の基準を一旦横に置いて、聞いてみる。この人は何らかの価値観をもってこういうことを言っているのだろうというところを、一応理解しようとするとよいです。このような習慣、違うなと思った時に1回ごくんと飲み込んで我慢する、という練習をするのもいいかもしれませんね。

夛田:心理的安全性とは上司の傾聴力がとても影響をしてくるのかなと思いました。

 

松丘:そうですね。聞くということもそうですし、単純にそれだけではなく、相手がそれを言おうとしている意図やベースにある価値観などを理解しようという姿勢が必要です。

 

夛田:部下が自分に話しかけてきているところを録音してみたりすると、自分がどれだけ聞けているか、どれだけごくんとできているかわかりますか?

 

松丘:確かにオンラインになると録画とかもしやすいので、やってみてもいいかもしれないですね。

 

夛田:みなさんも一度機会があれば相手の許可を取って録音することで、自分を振り返る、自分の普段の習慣を少し見てみることをされるのもいいかも知れません。ぜひお試しください。

 

 

 

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