更新日:2022-04-25

 OKRが「アンビシャス(野心的)」な目標であることを担保するために、OKRには「達成度」を評価に用いないという大原則があります。ところが、そのことがOKR導入を躊躇させる要因になっているケースが少なからず見受けられます。すなわち、達成度を評価に用いることができないのであれば今の評価制度では運用できないとか、100パーセント達成されなければならない予算目標をどうするのか、といった懸念があるからです。しかし、これらの懸念は、固定観念やOKRに対する誤解に起因している面が少なくありません。

 

  1. OKRの考え方

③ アンビシャス(続き)

 

◆「達成度」なしに評価はできるのか

 従来の目標管理制度(MBO)では、個人目標の達成度を評価に直結させるという運用が一般的に行われてきました。しかし、達成度で評価をすると達成できそうな目標しか立てられなくなるという弊害は、実はこれまでのMBOにおいても指摘されてきたことです。

 

 そのため企業によっては、目標に「難易度」という項目を加えているケースもあります。難易度が低ければ、たとえ達成度が高くても良い評価にはならず、その逆も然りという運用が可能になるからです。

 

 このケースでは「達成度」ではなく、成果の「大きさ」を評価に用いていることになります。なぜなら、「難易度×達成度=成果の大きさ」を表すからです。つまり、難易度を判定することができるなら、成果の大きさを判定できることになるため、それならば最初から成果の大きさによって評価すればよい、と言えます。

 

 部門や職種が違えば、成果の種類や内容が異なるため、単純に横並びで比べることはできませんが、目標の達成度を評価に用いることによって、部門や職種を越えて同じ基準を適用できるというメリットがありました。しかし、従来のMBOにおいても部門によって目標自体の甘辛がある、といった問題は存在しました。

 

 そこで目標が低くて甘くなるケースを排除するために、ここでも「難易度」が議論されましたが、そもそも別の部門や職種の目標が甘いのか辛いのかを判断することは困難です。つまり、成果評価を全社横並びで行うことには無理があり、もともと部門や職種単位でしか判断ができないものと言えます。

 

 上記のように部門や職種単位で成果の大きさを評価する運用を行えば、達成度を評価に用いる必要はありません。そのことは、実はMBOでもOKRでも同じことなのです。

 

◆100パーセント達成されなければならない目標をどうするのか

 達成度を評価に用いることができなければ、予算目標のように全社でかならずやり遂げなければならない目標を徹底できない、と考えられることも少なくありません。

 

 しかし、OKRにおいては100パーセントの達成を目指す「コミットメントOKR」をOKRツリーに含めることが許されています。このコミットメントOKRには、売上・利益といった予算目標もあれば、「事故ゼロ」などの必達目標も含まれます。これは、達成度を評価に用いることを意味するのではなく、必ず達成されなければならない目標をOKRに含めてもよい、という考え方なのです。

 

 もちろん、コミットメントOKRが多すぎると、アンビシャスというOKRの基本的考え方を維持できないため、一部に止める必要がありますが、このような運用は可能とされています。

 

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