アジャイルHRでは代表の松丘啓司と講師の夛田素子によるYouTube「1on1チャンネル」を開設しています。本サイトでは、過去に配信した対談を1回ずつ短いコラムに編集してお届けします。

 

 

夛田:前回、対話は相手と行うものでありながらも、自分との対話についてもぜひ心がけていただきたいということをお話しました。今日はその対話をもう少し深めていきたいと思います。対話における推論力というテーマで今日はお届けします。

 

松丘さん、この推論力というものですけれどもこれは上司側がメンバーもしくは部下のことを推論していく、想像していく、そんな意味合いでしょうか?

 

松丘:当然、上司も部下もお互いのことを知る必要がありますが、基本的にはまず上司からということですね。

 

夛田:対話の中で上司からメンバーの何を推論していくとよいのでしょうか?

 

松丘:前回の話にあったように、この人はどういう時にやりがいを感じるのかとかという、その人の内的動機、モチベーションのスイッチはどこなのかといったことを理解することと、その人がどういう価値観を持っているのか、つまり何を大切にしているのかを知っていくことです。上司はその人の外見やこれまでの経験とかはわかりますよね。しかし、その人がどういうその心の動き方をするのかといったような内面的なところは見ただけではわからないわけです。

 

コミュニケーションを通じてでないとわからないのですが、話の中で明確に私の内的動機は〇〇です、私の価値観は〇〇ですと本人が答えてくれることはまずありません。なぜなら、本人もよくわかっていないケースも多いですし、あるいは価値観は非常に抽象的で感覚的なものなので、言葉で簡潔に表すのは非常に難しいからです。そのため、上司の方がいろいろ質問したりしながら引き出していくというか、どちらかというと輪郭をだんだんはっきりさせていくみたいなアプローチが必要になってきます。

 

その時に、もしかしてこうなんじゃないかとか、この人がこういう価値観を持っているとすると、そういう所にこだわるのは納得がいく、というような推論をしていく必要があるのです。

 

夛田:自分から私はこういう価値観を持っているとは言ってくれないので、上司の良質な問いが非常にポイントになると思うのですが、引き出すための問い、また目に見えない輪郭をはっきりさせていくという効果的な問いの方法はどうすればよいのでしょうか。たとえばあなたはどんな性格なのですか?と聞いてもなかなか答えられるメンバーもいないかと思うので、その効果的な問いについて皆さん知りたいのかなと思います。

 

松丘:たとえば、どういうときに仕事で充実感を感じるか?最近、やりがいを感じたのはいつだったか?最近、よかったことは何?みたいなことでもいいですし、あるいは嬉しかったことは?という問いもよいと思います。

 

嬉しいと一言で言っても、その内容は人によって千差万別ですよね。嬉しかったと言ったときに、どういう状況でどんな気持ちだったのか。その嬉しかった理由がもしかして人に感謝されたからかも知れないし、あるいは会社の中で注目されて評価された、皆の前で表彰されたとか言うようなことが嬉しかったのかも知れません。あるいはみんなで助け合って何かをやり遂げたみたいなことが嬉しかったのかも知れない。つまり、その嬉しいの裏側に、その人の価値観や内的動機が隠れているわけです。

 

こうだったから嬉しかったのですか?と聞くとそうですって答えるかも知れないし、少し違うと答えるかも知れません。ですので、返ってきた答えから、もしかしてこの人の嬉しいはこういうことなのかなっていう仮説を立て、それを相手にぶつけてみて、いやちょっと違うんですって言ってもらえると、どこが違うのかがわかります。そこにヒントが隠されているので、もしかしてこういう形かもしれないということをまた投げかけてみて、そんな感じですっていうことでやっとイメージができます。

 

夛田:ポイントは主に2つかなと思いました。

まず1つ目は、どんなことを感じているか、何にやりがいを感じているか、また充実感を感じているかということですので、感情の言葉を引き出すということが一つ。つい、周辺の事実を聞いてしまいがちですよね。どんな仕事やタスクを抱えているのか、納期が迫っているのかとかそういったことを聞きがちですがそうではなく、どんなことを感じているのかという気持ちを聞き出す。

 

2つ目のポイントはその感情からその裏を読み解いていく。楽しかったこと嬉しかったことを深掘りしていくということですね。その2つが対話におけるポイント、また、対話の質を上げていくポイントなのではないかなと思いました

 

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