アジャイルHRでは代表の松丘啓司と講師の夛田素子によるYouTube「1on1チャンネル」を開設しています。本サイトでは、過去に配信した対談を1回ずつ短いコラムに編集してお届けします。

 

夛田:今日は”承認”がテーマです。人間の持っている欲求の中で最も強いものが承認欲求だとも言われていますが、職場における承認、または上司と部下における関係性での承認、これについてのポイントを、今日は松丘さんに伺いたいと思います。

 

松丘:承認というのは相手を認めることです。なぜ大事なのかというと、それがその人の成長の前提になるからです。アメリカの学者で、人はどういう時に成長するかというのをいろいろと研究した方がいますが、人が成長するためにはグロースマインドセットが必要だとのことです。グロースマインドセットとは自分は頑張ればできるんだ、やればできるんだというようにポジティブに自分のことを信じているマインドセットです。

 

それがあれば良い結果が出るまで努力できるし、何か障害があったとしてもそれは一次的な障害であって自分には乗り越えられるんだというように思えるようになります。グロースマインドセットになるために何が必要かというと、要するに自己肯定感です。自分で自分を信じるとか、自分には価値があると信じる。そのような自己肯定感を高めるために承認されることが重要になります。

 

あなたには価値がある、ここにいる価値がある人だというように認めてあげるということです。だから単純に何かが上手だね、良い点数取ったね、というよりもその人の存在を承認することが必要です。何ができるとか、どういう結果を出したから認めてあげるということではなく、その人が存在していることを認めてあげる。あなたはこういう人だね、こういうところが他の人と違ってあなたらしいねと、そういうことを認めてあげることが必要ですね。

 

夛田:それだけ聞くと、あなたがそこにいるだけで価値がある、存在そのものの承認というお話でしたが、なんとなく今マネージャーをされているような世代の方だとそれを伝えるのが恥ずかしいと思ってしまうようなイメージもありますけれども、やはりそこはきちんと伝えてあげることが重要だということでしょうか?

 

松丘:そうですね。どちらかというと古い世代のマネージャーは、承認の逆ですよね。そんなことできないだとか、やる気がないんだったらもう辞めてしまえ、といったような存在否定に近いことをすると打たれ強くなって成長すると誤解している方もおられると思いますが、そんなことはないです。否定され続けるとやはり自分はダメなんだ、何をやっても否定されるんだというように思ってしまいますね。

 

夛田:承認というのは周囲がその方を承認すること、その方を肯定することというのも大事ですが、自分自身もこういったマインドセットを醸成し、自己肯定感を高めていくという、自分自身に対して行っていくことも大事ですか?

 

松丘:そうですね。自分自身でやることも大事ですが、自分で自己肯定感を高めてくれと言われても、なかなかどうしていいかわからないと思うので、やはり周りから、その中でも大切な人=特に上司から認めてもらうということがいちばん大事と思います。

 

夛田:前回の対話の際にも、相手に関心を持つという話が出てきましたが、今回も相手の自己肯定感を高める、あるいは相手の存在を認めてあげる。どちらにおいてもよりメンバーの方を観察しないとできないということを感じました。

 

松丘:もちろん観察するのは大事ですが、観察して部下の価値観が自分の価値観と違う場合、どうしても認めたくない、それはおかしい、という考え方をしてしまうこともあるでしょう。自分の考え方が正しいと思っているとなかなか承認はできないですよね。基本的には多様性を受け容れるということと同じです。上司からすると少し変わった価値観を持っているかもしれないが、この人はこういうことに拘るんだと認めてあげることが大事なので、観察すると同時に、自分自身が違いを受容できているかどうか、ということを振り返ることが必要と思います。

 

夛田:良い悪いで判断しないということにもつながってくるのでしょうか?

 

松丘:そうですね。会社のルールを破るとか、悪いことをしたときは悪いという必要がありますが、価値観には良し悪しはないので、この人はそういう風に考えるんだ、と受け容れるということです。

 

夛田:互いの違いを受容すること、その人自身の価値観を良い悪いで判断をしないということ。事実が間違っていたらそこを指摘するということ。ここの違いと言いますか、そこの線引きをしないでそのまま過ごしてしまっているという方も、もしかしたらいらっしゃるのかなと思いながら聞いていました。次回もこの続きをお話したいと思います。

 

 

 

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