在宅勤務/リモートワークの増加によって、コミュニケーションが不足し、社員が疲弊しているので1on1を導入したいというニーズをよく聞きます。もちろん、コミュニケーション不足の解消は必要なことですが、1on1がマイクロマネジメント(細かな報告と指示)の場にされてしまうと、社員はさらに疲弊してしまうかも知れません。

 

 そのため、解決すべき課題はコミュニケーションの量を増やすことだけではなく、同時にコミュニケーションの質を変えることにあります。組織はコミュニケーションによって成り立っているため、会社におけるコミュニケーションの質を変えることは、実は組織風土(カルチャー)を変えることに他ならないのです。

 

 組織風土を変えたいというニーズもよく耳にします。それらは、たとえば以下のような内容です。

 

・待ちの姿勢ではなく、自律的に行動するようになってほしい

・失敗を恐れず、新しいことにチャレンジしてほしい

・部署の壁を越えた連携をもっと増やしたい

・1人ひとりが働きがいや将来への希望を感じられる職場にしたい

・何でも言い合える心理的安全性の高い組織にしたい

 

 組織風土変革は目に見えない価値観や行動規範を変えることであるため、上から号令をかけたら変わるものではありません。バリューや行動指針として、言葉にしただけで浸透するものでもありません(もちろん、言語化は重要です)。職場におけるコミュニケーションの質が変わることによって、はじめて組織に浸透を始めるものです。

 

 そのため、1on1は組織風土を変えるための効果的な方法となりますが、1on1を制度化すれば組織風土が変わるわけではありません。1on1を導入し、定着させるプロセス自体が組織風土変革への「チェンジマネジメント」なのです。

 

 最初に何を目指して1on1を導入するかというビジョンを定め、トップから明確に示されることが必要です。次に我が社の1on1のあり方が検討される必要があります。もちろん、個々の1on1に自由度はあってよいのですが、我が社としてコミュニケーションをどのように変えたいのかがガイドブック等で説明されることが必要です。

 

 新たに求められる価値観や行動規範は、マネジャーの行動様式に浸透させられなければなりません。研修機会はそのために必要となります。マネジャーのマインドセットと行動を変えるには通常、複数回の研修機会が必要です。

 

 1on1の導入後、全社的に実施されていることが皆に実感されるためにもITシステムの活用が効果的です。ITシステムは現場に負荷をかけずに手軽に使えることが不可欠です。また、組織風土が実際に変わっているかを測定するために、エンゲージメントサーベイなども必要となります。

 

 以上のように、組織風土を変えるための1on1導入は、特に大きな会社ではそれなりの規模のプロジェクトになります。組織に染みついた行動様式を変える取り組みであるため、研修部門だけに任せてできるものでないことは当然です。しかし、目に見えない組織風土という対象を変えるために、1on1導入という具体的な施策は絶好の機会となるため、それだけの労力をかける価値が十分にあるといえます。

 

株式会社アジャイルHR

代表取締役社長 松丘 啓司

 

 

(ご参考)

アジャイルHRの1on1研修

1on1を支援するクラウドサービス(1on1navi)