前半に引き続き、セレクションアンドバリエーション代表取締役の平康さんとシニアコンサルタントの山本さんとの対談をお届けします。

 

松丘:OKRを導入することに伴って、御社は人事制度面でどのような支援を行っているのでしょうか?

 

平康:まずは報酬決定等の仕組み作りですね。お給料はどう決めるの?賞与にどう反映するの?といったところに関して、その会社の既存の制度を踏まえつつ、適切なご提案ができると考えています。OKR導入のコンサルティング会社はありますが、私どもの大きな違いはその点だと思っています。

 

松丘:そうですね。OKR導入すると必ず評価の仕方が変わってきますから、そもそも目標の達成度を評価に用いないといった時点で、ではどうやって評価するんだという話になると思います。お客様からすると、OKRのコンサルティングだけでは物足りない。評価制度や報酬制度も含めてトータルでどうすればよいのかというアドバイスが欲しいのだと思いますね。

 

平康:それに関しては2点あるのですが、1つは給与の反映の方法です。松丘さんも著書に書かれたノーレイティングについても、私どもは実績が多数ございますので、それとOKRとの紐付けがしやすいという点があります。

もう1つはOKRで成功し、飛躍的な成長をした場合にどう報いるの?という問題があります。S/A/B/Cという枠にはまらないようなトリプルSのような、そういった成功がOKRによって達成される確率が高まるので、その際に「他は1万円の昇給だけれどもあなたは3万円昇給させます」といった対応ですとまったく機能しません。そのあたりも含めた人材活用、どのようなキャリアパスを設けてどのように成功者に報いていくのか、どのようなマネジメントを構築していくのか、ということまで含めて設計できることが私たちの強みだと思っています。

 

山本:ここからはバトンタッチをして、私が松丘さんに質問させていただきます。はじめに、アジャイルHRが1on1naviを開発・販売されたきっかけをお教えいただけますか?

 

松丘:きっかけはMBO型でのパフォーマンスマネジメントに対する疑問からです。2016年に出版した「人事評価はもういらない」という本でも触れていますが、ビジネススピードの変化とそれに伴う仕事の進め方の変化を背景に、上意下達・年単位でのパフォーマンスマネジメントがパフォーマンス向上に役立たないケースが増えてきたことにあります。そのため、目標設定やフィードバックも機敏である必要があり、そのためのツールには自律的な目標設定・管理手法であるOKRと、多頻度の面談である1on1を備えた機能が必要と考えました。

 

山本:確かにOKRや1on1はそういった経営課題を解決する非常にパワフルなツールですよね。御社では企業へのOKRシステムの導入実績も多数あるかと思います。導入企業様で見られる代表的なお悩みはどのようなものでしょうか?

 

松丘:従業員に対するOKRの浸透ですね。MBOを導入している企業は多いですが、OKRという言葉に触れたことのある方はごく少数です。そのため、OKRを導入すると言っても「なぜOKRを導入するのか」「自分たちは何をすれば良いのか」が判らず戸惑ってしまうことがよくあります。

 

山本:OKRに限らず、新しい人事制度を導入する際は戸惑いがありますよね。導入時の混乱に対してはOKRの概要説明を行うのが一般的だと思いますが。

 

松丘:最近導入した企業ではOKRという言葉を使わずに「自律的に目標設定を行う」ということを打ち出しました。リーダーはマネージャーが立てた目標に貢献するために自組織の目標を設定し、メンバーはリーダーが立てた目標に貢献するために自身の目標を設定する、というフローとしました。最終的には経営層とマネージャーの目標も連動させることを視野に入れていますが、まずは管理職層~現場層のみでの導入としたのです。

 

山本:戸惑いは見られませんでしたか?

 

松丘:やはり最初は手探りでした。自分たちはどのような目標に立てるべきなのか、目標の高さが妥当なのかが判らなかったからです。しかし、週次→月次→四半期とOKRのサイクルを回していく中で、運用ノウハウが貯まり、良い塩梅になっていきます。また、当社からも挑戦的な目標の方向性や良いOKRの例を共有することでそれを促しました。

 

山本:なるほど。OKRに慣れていない方に無理矢理、知識を詰め込んでも消化不良になってしまいますよね。まずはやってみてから、少しずつ改善する。良い事例を共有することでイメージも掴みやすくなりそうです。OKR導入の効果はどのようなものが挙げられますか?

 

松丘:OKRの効果の1つとしてエンゲージメントを高める効果があります。エンゲージメントが高まればパフォーマンスが高まるというのは学術的に証明されています。主体的な目標設定やチームで目標に取り組むことを通じて、仕事に対するヤラサレ感がなくなり、最終的には仕事の目的や組織の存在意義・仕事の位置づけを感じられるようになります。

 

山本:エンゲージメントが高まるのはOKR導入の非常に大きなメリットですよね。ただ、OKR導入による運用負荷は多くの企業が懸念される所だと思います。そのための解決策の1つがOKR支援のシステム導入だと思いますが、システム導入することで得られるメリットはどのようなものでしょうか?

 

松丘:システム導入のメリットは2つあります。1つ目はシステムがなければそもそもOKR設定がしづらいということです。特に従業員が数百人以上になると、OKR間の相互の繋がりを設定するのが難しくなります。自身や自組織のOKRは、どのOKRに貢献するのかというツリー構造の設定が、システムなしではたいへん煩雑だからです。

2つ目はOKRの公開が行いやすいという点です。システムを導入すれば、他者や他部署がどのようなOKRを設定し、どの程度進捗しているかがリアルタイムにストレスなく共有できます。OKRの普及には一人ひとりが負担を感じずに目標の共有ができること必要です。クラウドサービスなら目標共有が即時かつ容易に実現出来ます。

 

山本:OKR支援システムを検索するとたくさん出てくるため何を選べば良いのか分かり辛い印象です。OKR支援システムを選ぶ際に重要なポイントをお教えいただけますか?

 

松丘: OKRに対応していますというシステムはたくさんありますが、どちらかというと人事管理系のシステムが多く、今までのMBOでやっていた目標がOKRになっただけというものが多いですね。評価目的が中心で、OKRに基づいて組織を運営していくという目的で作られていないものが多数です。つまりOKRとOKRの関連性がしっかりと管理されて、それぞれのOKRの進捗状況等をリアルタイムで変えていくことができるといった機能を備えているシステムは非常に限られているということです。

 

山本:1on1naviの特徴をお教えいただけますでしょうか?

 

松丘:1on1naviはOKRだけでなく1on1面談の機能も備えています。また、スマートフォンに対応していることも喜ばれるポイントです。

 

山本:確かに、出先で進捗の報告が出来るのはリモートワーカーにとってはありがたいですね。また、報告だけでなく、掲示板やチャットのようなインターフェイスで相談が出来るのも気軽でよさそうです。1on1naviを導入する際の所要期間はどの程度でしょうか?

 

松丘:使用頂く機能や規模にもよりますが、システム導入だけであればおよそ1週間程度です。

 

山本:

1週間で導入できるとなれば、まずは試しに導入してみるというのもできそうですね。 本日はありがとうございました。

 

 

山本遼(やまもと・りょう)

セレクションアンドバリエーション株式会社 シニアコンサルタント

 

西大和学園中学・高校、立命館大学経営学部卒業
上場建設業の経営企画、大手機械製造業の人事制度運用・企画担当、関係会社の人事責任者を経てセレクションアンドバリエーション入社。
学校法人、通信建設業、ITベンダー、映像制作会社、大手製薬業、給食業等の人事制度設計に携わる。
また、経営層・管理職・中堅社員・新卒入社社員など幅広い年齢層に対する連続研修にも多数登壇。
中小企業診断士。

 

【執筆実績】

 

2018年06月~2018年11月 悩みボヤく管理職に逆質問で気づきを促す、評価制度の運用想定問答集(月刊人事マネジメント)
2018年06月 製造現場の改善方法に学ぶ 副業をするための時間の捻出法(近代中小企業)
2019年03月 部下を納得・腹落ちさせるフィードバックのノウハウ(労政時報)
2019年08月 ファクトフルネス分析 データと事実から自社賃金を知る(近代中小企業)
2020年08月 即効性ある戦略人事でウィズコロナ時代を乗り越えろ(近代中小企業)
Wezzy(webメディア) 「グレーゾーン人事術」連載
OKRに関するnote→ https://note.com/okr_com