前回のコラムでは、OKR導入を成功させるためには、OKR導入の最初の段階で用意周到な準備を行っておくことが重要であることについて解説しました。最終回の今回は、チャレンジを称える風土づくりの重要性について述べたいと思います。

 

ポイント⑤:称賛する風土

 

 従来のMBOによる目標管理では、目標必達が前提にあったため、マネジャーからメンバーへの視線はどうしても目標と実績の乖離に向かいがちでした。その結果、なぜできていないのかといった「できない理由」を問われ、メンバーは責められているように感じることも少なくなかったでしょう。

 

 OKRは意欲的な高い目標であるため、目標と実績に乖離ができるのは当然のことです。それにもかかわらず「できない理由」を問われ続ければ、メンバーは高いゴールを設定することを止め、目標のレベルを引き下げるようになってしまいます。

 

 スポーツなどと同様に、仕事においても小さな自信の積み重ねが大きな実績を生み出します。野心的なOKRが一足飛びで達成されることはなく、一つひとつの「できたこと」の達成感を重ねることによって努力の継続が可能になります。したがって、成果に向けた努力を「強化」するために、マネジャーは「できたこと」やOKR達成に向けたチャレンジに対してポジティブなフィードバック行わなければなりません。

 

 もちろん、ネガティブフィードバックが不要なわけではなく、また最終的な評価は結果によって測られますが、途中の過程で良かったことにははっきり良いと伝え、チャレンジする姿勢に対しては敬意を示す態度が必要です。

 

 ポジティブフィードバックを求められるのはマネジャーに限った話ではありません。OKRはオープンに開示してこそ、その効果が得られますが、OKRの内容や進捗状況を開示することに対して心理的な不安を感じてしまうような状況では、情報を狭い範囲に閉ざそうとする意識が働いてしまいます。そのため、周囲にもポジティブフィードバックを大切にする風土が育まれなければなりません。

 

 MBOを長く続けた企業では、「褒める」「称える」といった習慣を欠いていることが少なくありませんが、OKRを運用して会社全体で大きな成果を得るためには「称賛する風土づくり」がきわめて重要になります。そのような風土を育むために、トップが率先して行動で示すことが重要であることは言うまでもありません。

 

(おわり)

 

株式会社アジャイルHR

代表取締役社長

松丘 啓司