前回のコラムでは、歴史のある企業がOKR導入を成功させるためには組織カルチャーを変えるための環境整備を行うことが不可欠であることについて解説しました。今回は2つ目のポイントとして、トップレベルのOKRの重要性について述べたいと思います。

 

ポイント②:熟慮されたトップレベルのOKR

 

 全社でOKRを設定する際には、最初にトップレベルのOKRが立てられ、その達成に向けて全員のOKRが方向付けられます。そのため、もしトップレベルのOKRが安易に設定されたならば、会社全体を誤った方向に導いてしまう恐れがあります。

 

 多くの企業におけるこれまでの全社目標は、売上や利益などの予算目標が中心だったかも知れません。しかし、同じような目標がトップレベルのOKRとして設定されてしまうと、社員からはこれまでと代わり映えしないと感じられ、OKRへの期待がそがれてしまいます。

 

 したがって、トップレベルのOKRを設定する際には、当然のことながら念入りな検討が必要です。もちろん、OKRは会社によってすべて異なりますし、正解がある訳ではありませんが、以下のような点を踏まえて、よく練り上げることが重要です。

 

  • パーパス/ビジョンと繋がっていること

 なぜ、そのOKRの達成を目指すのかという理由が、高い視点から説明されることが必要です。そのため、トップレベルのOKRは会社の存在目的(パーパス)に則ったものでなければなりません。また、そのOKRを達成することによって、会社が目指す姿(ビジョン)に近づくことができるという確信を社員に与えることが重要です。トップレベルのOKRを検討するに際しては、常に会社のパーパスやビジョンに立ち返ることが求められます。

 

  • 意義を訴えかけること

 トップレベルのOKRは戦略的に正しいだけでなく、そこに「わが社はこうなりたい」というリーダーの思いが込められていることが必要です。その思いは、単にリーダーの個人的な希望ではなく、そこに顧客や社会に貢献する志が込められることによって、社員はOKRに対する意義を感じることができます。意義を感じられてこそ、社員は高い目標に対してチャレンジできるのです。

 

  • 環境変化を的確に捉えていること

 トップレベルのOKRは会社全体の優先度を決めるものであるため、正しい方向性を示すものでなければなりません。企業は環境に適応することによって存続することができるため、環境変化を的確に捉えたOKRを設定することが極めて重要です。そのためには部門内、自社内、業界内の狭い内向きの視点ではなく、境界を越えた広く高い視点で環境変化を常に観察し続けていることが求められます。

 

  • トップの主体性が発揮されるテーマであること

 トップレベルのOKRを立てた後、皆でそれを達成せよと命じただけで社員のチャレンジは引き出されません。トップ自身がそのOKRの達成に向けて率先してチャレンジすることによって、トップの本気度合いが伝わります。したがって、トップレベルのOKRはトップ自身がその達成に向けて主体的に取り組めるテーマであることが必要です。

 

  • 経営陣がワンボイスであること

 トップレベルのOKRを達成するためには、トップだけでなく経営メンバーがそのOKRの達成にコミットしている状態になければなりません。そのため、OKRの検討に当たっては、トップ一人の考えではなく、経営陣でとことん議論することが重要です。そのプロセスを経ることによって、トップレベルのOKRの意味が経営陣で共有され、それによってミドル層にもOKRの内容が的確に伝えられるのです。

 

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株式会社アジャイルHR

代表取締役社長

松丘 啓司

 

(参考情報:OKRツールの選び方についてはこちら