ベンチャー企業だけでなく、歴史のある企業においてもOKR(Objectives and Key Results)への関心が高まっています。その理由は、これまでの目標管理制度(MBO)による以下のような弊害が目立ってきているからです。

・「自分はこれをやりたい」といった主体性を伴った目標が立てられていない

・目標の達成度を気にして、思い切ったチャレンジを避ける傾向がある

・個人の目標達成が優先して、他者や他部門との連携が不足している

 

 OKRはこれらの問題を解消する効果的な目標設定のコンセプトですが、これまでの方法に馴染み切った組織において、OKRの定着にまで漕ぎつけるのは容易ではありません。並々ならぬ労力が求められますが、それ以上の効果が期待されます。

 

 本連載では確立された事業を有する歴史のある企業において、OKR導入を成功させるための5つのポイントについて解説します。

 

ポイント①:組織カルチャーを変える環境整備

 

 目標管理にOKRを導入しても、これまでと同様の行動様式を個人に対して求める組織環境が変わらなければ、OKRはうまく機能しません。

 

従来のMBOでは「上から目標を与えて、目標の達成度で評価を決める」といった運用が一般的でしたが、OKRにおいては「各人が主体的に高い目標を立て、目標の達成度は評価に用いない」のが基本となります。

 

 この変化によって、必然的に評価制度の見直しが必要とされますが、それは単に「達成度を評価に用いない」という実績評価方法の変更だけではなく、評価項目や評価方式の見直しにも及びます。

 

 OKRは「自主的に考えて行動する」「失敗を恐れずに挑戦する」「多様なメンバーと連携する」といった行動面の変化を個人に求めるものであるため、同時にバリュー(行動指針)の制定や見直しが行われるケースが少なからずあります。

 

さらにそのバリューの浸透を徹底するために、バリュー体現度の360度評価が導入されることもあります。たとえば、グーグルではGoogleyness(グーグルらしさ)を360度評価の項目に含めています。

 

 また、OKRを導入する企業では1on1(上司と部下の対話)もセットで行われることが一般的です。1on1の場で上司は部下の目標達成度を管理するのではなく、達成に向けたチャレンジを支援する役割を担います。つまり、上司にも行動様式の変化が求められるのです。

 

 このようにOKRの導入に当たっては、社員全員の行動様式を変える(すなわち組織カルチャーを変える)取り組みが不可欠となります。そのためには、自社が目指す組織カルチャーを明確にした上で、それに整合した制度等の環境を同時に整えることが必要です。

 

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株式会社アジャイルHR

代表取締役社長

松丘 啓司

 

(参考情報:OKRツールの選び方についてはこちら