「自分の強みは?」「自分らしさとは?」あなたはその質問に瞬時に答えることはできますか?自分の内にある変わることのない「価値観」を知ることで、ビジョンが見えてくる。毎週月曜日12時20分~12時50分まで、楠田祐×松丘啓司で人事の最新トレンドをライブでお届けする「HRMonday」。第25回は、「オーセンティックリーダーシップ」について解説しました。

HRMondayは今回をもって終了し、2021年2月からは、定期的にオンラインセミナーを開催し、最新の人事情報をお届けしてまいります。セミナー情報・最新の人事情報をご希望される方はアジャイルHRのメールマガジンへぜひご登録ください!

 

【オーセンティックリーダーシップとは?】

リーダーシップについては、支配型、ビジョン型、コーチ型…等、その時代によって様々な考え方・スタイルが提唱されてきました。最近よく聞くようになってきた「オーセンティックリーダーシップ」とは、どのような考え方なのでしょうか?

オーセンティック(authentic)は、本物、正統、本格的といった意味で使われる言葉ですが、オーセンティックリーダーシップという言葉においては、「自分らしく」「自分らしい」と訳して使われることが適切です。1989年に発行されたウォレン・ベニス の著書、「リーダーになる」の中にこのような言葉があります。「本来の自分であること(=Authentic)は、文字通り自分の作者(Author)になることだ。このふたつの言葉はどちらも同じギリシャ語に由来する。それは、自分が生まれながらに持っているエネルギーや願望を発見し、それに沿って行動するための自分らしい方法を見つけ出すことである」。

多くの人は、リーダー=お手本となる人、皆がついていこうと思える人といったイメージが強いのではないかと思います。リーダーは常に先を読み、戦略を考え、それが想定どおりに遂行されているか把握しながら、メンバーを進むべき方向へ動かしていくことが役割として考えられてきました。今も昔もリーダーは、進むべき方向を指し示すことを求められていることに変わりはありません。

ですが、変化の激しい予測不可能な環境では、従来のように、これをしたら市場はこう反応するだろう、論理的に考えればこうなるだろう、過去の経験ではこうだった、といったことが全く読めなくなってきているため、そのような外的要因を軸として、その進むべき方向を指し示すことが非常に難しくなってきています。

そのためリーダーは、市場や周囲の環境だけに左右されるのではなく、「こうなりたい」「~を成し遂げたい」という、その人ならではの「自分らしい」思いや考えを持ち、それを基準に進むべき方向を示すことが必要であると考えられるようになってきました。ここ最近、オーセンティックリーダーシップという考え方が注目された背景には、そのような経営環境の変化があると考えられます。

 

【オーセンティックリーダーシップとキャリア開発】

松丘は様々なリーダーシップ論がある中で、オーセンティックリーダーシップは、キャリア開発の考え方をベースにしていると考えています。松丘が同じく代表を務めるエム・アイ・アソシエイツ社でも、キャリア開発研修を提供しているのですが、キャリア開発は、以下の図のように、自分は何を大切にしているのか、自分の強みは何なのかといった「自分」と、市場や会社や職場といった「環境」を理解した上で、その双方を重ね合わせて、自身のビジョンを描いていくといったステップを踏みます。

 

 

このキャリア開発のステップは、視点の高さの違いはありますが、基本的には若手でも、ミドルでも、シニアでも同じです。その中でも特に大切なのは、「自分らしさ」「自分の強み」を活かすビジョンを描くことと考えられています。オーセンティックリーダーシップも、まさしくその「自分」と「環境」を理解した上で、リーダーとして「自分らしい」ビジョンを示していくという考え方なのです。

 

【「自分らしさ」とは何か?】

それでは、「自分らしさ」とはどういうことなのでしょうか?松丘は、「自分らしさ」のベースには、何を大切にするのかというその人の価値観があり、それはその人が何かを選ぶ際の選択の基準にもなるものであると解説しました。先ほどの、将来のビジョンを描くということに関しても、ビジョンとは、今からその将来の時点に至るまで、自分の価値観に従って「選択」を積み重ねた結果としてあると考えられます。市場の変化がスピーディでビジネスの考え方が次々に変わっていくこの時代において、その選択をするためには、「自分が何を大切にしているのか」という、自分の価値観を認識していない限り、本当の意味でのビジョンは描くことはできません。

年齢を重ねたり、ビジネスの経験を積んだりすると、昔とは違う考え方を持つようになったと感じることも多々あるかと思います。価値観と一言にいっても、それには、その人の経験や置かれた状況、いわゆる外的な要因で変化する「変わる価値観」と、周囲の環境等に影響されることのない「変わらない価値観」があります。その時代の主流の考え方、周囲の環境や、会社の文化等に影響されて「変わる価値観」で物事を判断したりキャリアを考えたりすると、振り回されてしまって軸がブレてしまうことが多くなります。そのため、自分の価値観を知ることだけではなく、自分の「変わる価値観」「変わらない価値観」の違いを理解していることも重要です。

また、特にリーダーは、これからは自分の価値観や思いを、エピソードやストーリーで「語る」という能力も求められてきます。過去には、MBA的な考え方や、物事をロジカルに整理してファクトでプレゼンテーションするといったことが重要と考えられてきた時代もありました。その考え方は今も不要になってはいませんが、特に価値観やビジョンは論理的に説明できるものではありません。例えば、「うれしい」という感情を表す言葉を考えた時、何がうれしいのか、どんな時にうれしいかは個人差があり、自分の価値観の基準での「うれしい」を一番わかりやすく相手に伝えるには、エピソードやストーリーで説明することが必要です。

 

企業価値を高める組織風土

リーダーがメンバーをマネジメントしていく時、リーダー自身がどうなりたいか、何を目指しているのかといった、リーダー自身の「自分らしい」ビジョンを持つこと。またそれと同時に、それを語ることができなければ、メンバーのキャリア開発を支援することはできません。オーセンティックリーダーシップとは、「自分らしさ」を軸にビジネスの価値を生み出していくのと同時に、メンバーの「その人らしさ」が生きるポテンシャルを引き出していくことでもあります。

自分のことは分かっているようで、見えてないこともたくさんあります。特に他の人から見ると「その人の強み」であることは、自分では当たり前のこととして無意識に行動していることが多いため、「~さんらしさが生きているね」「~さんの強みだと思う」というように、周囲から積極的にフィードバックしてもらい、理解していくような文化を作っていくことも重要です。

近年、組織文化のような目に見えないもので形成されているヒューマンキャピタルバリューが、会社の業績に非常に影響し、また企業価値にも大きな影響を及ぼすと考えられています。「その人らしさ」を活かすマネジメントは、多様な価値観を重視することにもなり、結果としてイノベーションや新しい発想を生み出すことになります。そういったヒューマンキャピタルバリューは、目には見えないものではありますが、それに対してしっかり投資していく、あるいはその価値を開示していくという流れになることは間違いありません。

25回に渡り、HRMondayでは様々な人事のテーマを解説してきました。そのどれにも共通するメッセージは、「らしさ」だと考えます。一律で物事を考えるのではなく、その会社らしさ、その組織らしさ、その人らしさ、を考えること、その「らしさ」を大切にすることが、これからの時代では必ず必要になってきます。従業員一人ひとりが、「自分らしさ」を活かすオーセンティックリーダーとなったとき、会社は確実に変わってくると感じています。

 


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