副業でデリバリーのバイトをする!は大きな間違い。企業にも、従業員本人にとっても、意味のある副業・兼業のデザインはできているでしょうか?毎週月曜日12時20分~12時50分まで、楠田祐×松丘啓司で人事の最新トレンドをライブでお届けする「HRMonday」。第20回は、「副業・兼業」について解説しました。

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【副業・兼業解禁は人事変革の象徴的な動き】

副業・兼業の解禁は、中小企業庁が中小企業で働く人の視野や経験を広げるために推奨したことが始まりといわれています。その後、働き方改革の後押しもあり、定年後の準備手段、好きなことへのチャレンジ、スキルアップ等、様々な目的で従業員の副業・兼業を支援する企業が増えていきました。企業が従業員の副業・兼業を認めるようになってきたことは、従来型のメンバーシップ型人事を変えていく、ある意味では象徴的な動きともいえるのではないでしょうか。

最近、多くの企業が従業員の自律の必要性を、大きな課題の1つと上げることがよく見られます。ですが、従業員が自律していない、できない大きな原因の1つに、そもそもとして会社が組織・会社に従属させようとしているという背景がありました。

副業の禁止から始まり、本人のキャリア志向が考慮されない配属、定期的な異動による転勤や単身赴任、家庭を犠牲にしても長時間働かないと評価が上がらない等、近年の働き方改革でかなり緩和されてきたものの、未だ多くの企業は会社に従業員を従属させている状態にあります。ですが、その手綱を緩めない限り、従業員が自律的に自身のキャリアを考えることは難しく、会社に頼ることでしか生きていけなくなります。つまり、副業・兼業を認める企業が増えてきたということは、会社に従っていれば定年までは面倒を見ますよ、という「メンバーシップ型人事」の考え方が崩れてきており、企業が従業員へ本気で「自律」を求め始めた象徴的な動きではないとかと考えられます。

 

【戦略的視点でのデザインの必要性】

2018年に解禁されたものの、今までは積極的に副業・兼業を考える人は決して多くはありませんでしたが、今後、個人が自律的にキャリアを考えることが当たり前になっていくと、より副業・兼業をする人が増えていくと思われます。

ですが、いざ副業・兼業が認められたものの、多くの人はすぐに「これをやろう」と仕事を見つけることは難しいでしょう。また、副業・兼業を認めるといっても、働き方改革で早く帰宅できたから、もう少し今月の収入を上げるために稼ぎのいいデリバリーのアルバイトをしよう!となっては、企業にとってはメリットがありません。また、本人にとっても、収入が上がるというメリットはあっても、将来の選択肢につながらない副業に時間を費やすのでは、会社が本来目指していた「自律」とは違ってきてしまいます。

企業の中には、自分の可能性にチャレンジし、新しいことを吸収してほしいという観点から幅広く副業を認める企業がある一方で、自律をさせると従業員が退職をしてしまうといった考えから、副業を禁止する企業もあります。また社内の他部署での兼業を認める、企業のグループ会社での副業を認める、他社からの人材を副業として迎え入れる、といった新しい取り組みを始める企業も出てきました。

会社と個人の今までの「従属させる」「従属する」という関係性の中に、どういったバランスで「自律」を交えていくのか、企業は戦略的な視点を交えて、自社のデザインを確立する必要があります。

 

【人手が足りないからの視点では意味がない】

副業として人材を外に出すにしても、自社に受け入れるにしても、「人手が足りないから」ではなく、新しいスキルや考えを身に付けてほしい、自社にはないスキルが欲しいといった、会社の発展に結びつけた考え方が大切になってきます。またそうなると、副業をする人たちは「自社以外でも通用するスキル」を持っていることが前提になってくるでしょう。

松丘が同じく代表を務めるエム・アイ・アソシエイツでは、長年企業に対してシニアを対象としたキャリア研修を提供しています。その中に「今後のキャリアの選択肢を考える」という内容がありますが、長い間1つの会社や、限られた部署の中で過ごしてきたシニアの中には、いざ「考える」といっても選択肢が思う様に浮かばない事が多くみられます。

前回のHRMonday「役職定年」の中でも話がでましたが、役職を降りても働き続ける、60歳以上のシニアがこれからますます企業に増えてくるでしょう。もちろん、同じ会社で貢献し続けるキャリアはあってもよいのですが、人数が増えることにより、全員がそういった道を選ぶことは難しくなってきます。そのためにも、自社以外でも通用するスキルを身に付け、何かしらのキャリアとしての選択肢を本人が持っていることは重要です。

また、そういった「自社以外で通用するスキル」は、一朝一夕で身に付くものではありません。副業・兼業という形にこだわらずとも、若いうちから本業以外でも、生きていける何らかの道を模索し続けることが、ビジネスパーソン全員に必要不可欠な時代になってきているといえるでしょう。今後はますますオンラインでのビジネスも進み、柔軟な働き方が受け入れられるようになっていきます。週末だけ、週に2回だけ、地方での仕事、海外の仕事といった、様々な選択肢が増える中、企業も個人も、一歩踏み出して「やってみる」、「このチャンスに乗る」。そういった行動ができることが何より大切なのではないでしょうか。

 


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